遺産相続手続きや節税の方法を税理士が解説|相続お助け110番
事業承継税制

自社の株式を相続する事になりました。かなりの株価になりそうですが、何か節税出来ますか

中小企業等の後継者は、相続等によりその会社の株式を被相続人から取得した場合、相続税を納税しなければなりません。

しかし相続後の納税が大きな負担に感じる後継者も多いのではないでしょうか。

事業承継税制はそのような場合、一定要件を満たせばその株式に係る相続税の80%が猶予される制度です。

また、相続だけでなく贈与の場合も、一定要件を満たせばその株式に係る贈与税の全額が猶予される制度です。

税負担が厳しい企業の声から生まれた制度

中小企業の世代交代は納税面を考えると、多くの経営者が頭を抱える問題の1つとしてあげられます。

この事業承継税制の制度を利用すれば、重い税負担への悩みが軽減される可能性があります。

そのためには下記の要件を満たす必要があります。

相続税の納税猶予ができる「事業承継税制」を適用するための要件

1.被相続人の要件

2.経営承継相続人等の要件

3.認定対象会社の要件

※1.「経営承継円滑化法上の中小企業者」とは

「中小企業基本法の中小企業」の事であり、下記表の資本金又は従業員数のどちらかの要件を満たせば「経営承継円滑化法上の中小企業」に該当します。

事業承継税制

※ゴム製品製造業からは自動車、航空機用タイヤ、チューブ製造業及び工業用ベルト製造業が除かれます。

②資産管理会社に該当していないこと
この納税猶予制度はいわゆる資産管理会社の株式には適用されません。
資産管理会社とは以下の2つの基準があり、いずれかに該当する場合には資産管理会社に該当するため、この納税猶予制度ができなくなります。

【資産保有型会社】

特定資産の合計額 ÷ 総資産価額 ≧ 70%
(相続開始直前期の簿価を基に判定)

【資産運用型会社】

直前期の特定資産の運用収入 ÷ 直前期の総収入金額 ≧ 75%
(直前期とは相続開始直前期をいいます)

※特定資産とは下記の資産をいいます。
・有価証券等(その中小企業者の特別子会社のうち資産保有型又は資産運用型会社でない会社の株式等を除きます。)
・その中小企業者が現に自ら使用していない不動産(遊休地・賃貸用不動産・販売用不動産)
・ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利(事業の用に供することを目的として有するものを除く)
・絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産、貴金属及び宝石(事業の用に供する目的のものを除く)
・現預金(その代表者及びその同族関係者に対する貸付金及び未収金を含む)

※特定資産の運用収入は上記特定資産の運用収入をいいますが、特定資産を譲渡した場合は譲渡価額がその運用収入に含まれるのでご注意下さい。

※資産管理会社に該当しないとみなされる場合
上記の2つのどちらかに該当するため資産管理会社とされる場合であっても以下のすべての要件を満たす場合には資産管理会社に該当しないとみなされます。
・後継者・生計を一にする親族以外の常時使用従業員が5人以上
・事務所、店舗等の固定施設を所有又は賃借
・相続開始の日まで引き続き3年以上にわたり商品販売等(同族関係者に対する貸付けを除く。)を実地
※使用従業員とは厚生年金保険及び健康保険加入者をいいます。
※商品販売等とは商品販売、資産貸付、役務提供等をいいます。

4.租税回避行為について

この特例の適用のための租税回避行為を防止するために、以下の規制が設けられています。

5.事業継続要件

【主な事業継続要件の内容】

税制改正により、事前確認なしで経済産業大臣の認定を受けることが可能に

納税猶予を適用するためには経済産業大臣の認定を受ける必要があります。

平成25年3月31日までは相続開始前に経済産業大臣の確認(※1)を受けておく必要がありましたが、平成25年4月1日以降は制度の改正により、事前確認なしでも経済産業大臣の認定を受けることが出来るようになりました。

※1 経済産業大臣の確認
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」に基づき会社が計画的な事業承継に係る取り組みを行なっていることについての「経済産業大臣の確認」のことをいいます。

納税猶予を受けるための申告漏れを防ぐには、相続開始後すぐに税理士に相談されることをお勧めします。

事業承継税制を適用する場合は早めの行動を

納税猶予制度は多くの中小企業にとって税負担を軽減してくれる制度ですが、その制度を受けるための厳しい要件や期限が定められています。

要件を満たさなくなれば前述した通り、納税猶予が取り消しになるケースもあります。

特に事業継続要件については事前に必ずしっかり検討し、継続可能な場合に納税猶予制度を受けるようにしましょう。

また、この制度を適用できるかどうかの判断は非常に難しく、煩雑です。

期限内に全ての申請等を済ませておく必要があり、事業を継いだばかりで忙しく仕事をしながらの手続きは想像以上に大変です。

実際に手続きや判断をする場合には、事業承継税制に詳しい税理士に依頼することをお勧めします。

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