遺産相続手続きや節税の方法を税理士が解説|相続お助け110番

信託の定義と仕組み

まず、信託とは「委託者(=預ける人)の設定した一定の目的に従い、当該財産の管理又は処分を受託者(=預かる人)が行う行為」の事を指します。

信託をする上でよく耳にする「信託受益権(しんたくじゅえきけん)」ですが、
信託受益権とは受益者(=信託財産から得られる利益を得る人)が受ける権利のことです。

わかりやすく具体的な例を一つあげると、マンションを一棟所有しているAさんがいたとします。
Aさんが委託者となり、信託銀行にマンションを信託したとすると、信託銀行が受託者となりマンションの管理を行います。

賃料収入から、管理費、修繕費、借入金利息等諸々の経費を差し引き、さらに信託にかかる信託報酬差引き後の残った金額を信託配当として受益者であるAさんにお返しするという仕組みです。
受益者であるAさんにお返しする信託配当は信託銀行の運用実績により左右されますので、その額が必ずしもプラスになると保証されているものではありません。

現物不動産を信託したケース

現物不動産を信託すると、受託者(ここでは信託銀行)が信託財産の名義上の保有者になります。
※保有者が変更になりますので、所有権の移転登記を行うことになります。

それに対して、委託者兼受益者(ここではAさん)には信託受益権という権利が与えられます。

信託期間終了後は土地・建物ともに土地所有者に戻ってきます。
これを償還(読み方:しょうかん)といいます。

受益者にとって有利であると運用会社が判断した場合、
信託期間の延長を提案してもらえることがあります。

また、「償還」となっても、受益者にとって有利であると運用会社が判断した場合には、信託期間を延長することができ、これを「償還延長(しょうかんえんちょう)」といいます。

信託期間中は解約できないところがデメリットですが、信託受益権を誰かに譲渡するか、借入金の担保とすることにより資金化することができます。

信託を利用するメリット

運用負担の軽減

上記の説明でもわかるように、運用を信託銀行に丸投げできるので運用面で負担が減ります。
不動産を多く所有している方はメリットが大きいのではないでしょうか。

現物不動産の譲渡での経費より費用を抑えられる

また、信託することにより通常の現物不動産を譲渡するよりも移転にかかる費用を安く抑えられる点がメリットとして挙げられます。
信託受益権として不動産を譲渡される買い手は、不動産取得税、登録免許税が優遇されます。
(※ただし、現物不動産を信託設定する費用が別途かかります。)

信託受益権化することにより現物不動産が「信託財産」となります。
信託財産は信託法上、分離独立の財産として保護されますので結果として倒産隔離の機能を持つことができるわけです。
仮にオリジネーター(当初の債権者:ここではAさん)が倒産したとしても、信託法上、独立の財産として保全されるということになります。
使い方によっては現物不動産よりも勝手が良いということで、不動産ファンドに入れられる物件の殆どが信託受益権化されているのが実態です。

信託を活用して相続税を節税する!

一般的な個人の投資では、投資する資金や財産を用意して、それを運用し利益を出します。
この投資の流れは「資金を提供する」「運用する」「利益を受ける」の3つにわけることができますが、信託ではこの3つを三者で分担します。

このような手順を踏めば、間接的な意味合いで相続税の一部に割り当てることができるので節税になると考えられます。

教育資金を利用した節税対策

また、祖父母が孫に対して1,500万円までの教育資金を提供する場合にも、信託制度を活用することで節税が可能になります。

方法としては受託者となる金融機関を介する方法です。
金融機関を介することで贈与契約が公然となり、税務署に対しても明確になります。

一般的な贈与ですと非課税とされる上限が110万円までであるのに対して、教育費用に使用することが前提で限度額が引き上げられるのです。

大学や専門学校など、教育費は増額傾向にあります。
1,500万円までの資金提供であれば、教育資金として非課税で贈与が行える制度となります。
※この制度はあくまでも教育費であることが条件の資金なので、それ以外に使用できるのは110万円までに限られます。

また受益者が30歳までに資金を使い切れなかった場合には、残金は通常の贈与税で計算を受けます。

結婚子育て支援制度で節税対策

これ以外にも、結婚子育て支援制度を利用すれば上限を1,000万円まで贈与が可能で、挙式や新居引越し費用などに対しては300万円までになります。

この制度では、孫などが50歳になるまでに使用できなければ残り部分に関しては通常の贈与税率が適用されます。

相続時に資産をすぐに使えるようにするための準備

また一般的な相続では相談人が被相続人に財産の分配を行えるだけでしたが、生前に手続きを行っておくことで本人が死去した後も孫などに利益を受け取らせられます。

通常、祖父母が死去するとその財産は遺産分割協議が完了するまで利用することが出来なくなります。

しかし、生前時にあらかじめ利益を受け取る人を決めておけば、本人が死去してすぐに資産を使用できます

また受け取る人を決めておけば、30年間先まで受益する者を継続させることが出来ます。

このような制度を活用することで通常の一次相続だけでなく二次相続についても受益者指定出来るので、本当に手渡したい相手に自身の財産を引き継がせることが可能です。

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